アメリカでは資産運用でロボアドバイザーが盛んです。ロボットが資産運用を計画、リスク許容度に応じて銘柄選定、資産配分してくれます。また、マーケット状況に応じて自動リバランスしてポートフォリオを最適化してくれます。今まではフィナンシャルアドバイザーがやっていた仕事ですがフィーが高く、技術の発展によりコストの低いロボアドバイザーに代替されるようになってきました。
<費用>
ロボアドバイザー利用手数料はアドバイザリーフィーです。アドバイザリーフィーは預かり資産の%という形でチャージされます。無料のところが多く、高くて0.35%ほど。1%以上かかるフィナンシャルアドバイザーより断然安いです。(アドバイザリーフィーが無料でも年間手数料がある会社もあります。)
運用資産残高が増えればアドバイザリーフィーも増える仕組みで、会社と顧客の目的が一致しています。
また、売買時に商品によって投資コストが発生します。自社商品は低コストなため、大手のラインナップは自社商品が多いです。
ロボアドバイザーを擁する7社のサービスについてご紹介します。(2020年10月4日現在の情報)
1. Fidelity (Fidelity Go)
- ポートフォリオはFidelity Flex fundsから選定。投資費用ゼロ。
- アドバイザリーフィー
- 資産残高$10k以下: ゼロ
- 資産残高$10k~$49,999: $3/月
- 資産残高$50k以上: 0.35%/年
- 自動リバランス
- 最低預入資産なし
- 3年リターン及びベンチマークとの乖離率 6.54%/0.43%
- 2020年年初~6/30/2020リターン及びベンチマーク乖離率 -4.47%/0.07%
- Individual, Joint, IRA
ポートフォリオはFidelityの投資信託のみで構成され、投資費用はゼロです。
フィナンシャルアドバイザーなしの完全ロボサービス。他社はアドバイザリーフィーゼロが多いところ、Fidelityは預入資産残高によってかかります。
2020年はコロナの影響でマイナスとなっていますが、他社より健闘しています。3年間のリターンは6.54%と高いです。ベンチマークとの乖離率が低いのも評価できます。
2. Charles Schwab (SCHWAB INTELLIGENT PORTFOLIOS)
- リスクプロファイルは6つあり、3つの投資戦略から選ぶ。投資戦略はGlobal, U.S. Focused, Income Focusedの3つ。ポートフォリオの組み合わせは80種類。
- 投資商品はETF(株式、債券、コモディティ)
- アドバイザリーフィーなし
- 投資費用0.03%-0.60%(SchwabのETFが多くコストは低い。)
- 自動リバランス
- Tax Loss Harvestingあり
- プレミアムプランはフィナンシャルアドバイザーを利用できる
- 最低預入資産は5,000ドル
- 3年リターン及びベンチマークとの乖離率 1.64%/-4.6%
- 2020年年初~6/30/2020リターン及びベンチマーク乖離率 -13.30%/-7.64%
- Individual, Joint, IRA
ポートフォリオはETFのみで構成されますが、ETFはテーマごとに多数の銘柄で構成されているので分散効果があります。マネジメントフィーはなく、投資できる商品はSchwabのETFなので低コストです。大手なのでリターンや乖離率は良いかと思いきやそうでもないですね。
Tax Loss Harvesting
保有資産を売却してキャピタルゲインが発生した場合、キャピタルゲイン税を払わなくてはなりません。キャピタルゲインはキャピタルロスと相殺することができます。Tax Loss Harvesting機能は、キャピタルゲインに見合うように含み損資産を売却してくれます。アメリカのキャピタルゲインの相殺は短期(保有期間一年以下)と長期それぞれ分けてなされます。自分で管理して計算するのは煩わしいので税金対策してくれるのは助かります。
3. Ally Invest(Ally Invest Managed Portfolios)
- 4つのポートフォリオから選ぶ(Core, Income, Tax optimized, Socially responsible)
- 2つの資産配分から選ぶ。
①Cash-enhancedaccount(アドバイザリーフィーなし):
-
- 資産の30%-> 現金(高金利の貯蓄口座)
- 資産の70%-> 投資
②Market focused portfolio(アドバイザリーフィー0.3%/年):
- 全資産投資
- 投資商品はETF
- 自動リバランス
- 投資費用0.05%~0.20%
- 最低預入資産 $100
- フィナンシャルアドバイザーなしの完全ロボサービス
- 3年リターン及びベンチマークとの乖離率 4.59%/-1.63%
- 2020年年初~6/30/2020リターン及びベンチマーク乖離率 -7.82%/-2.29%
- Individual, Joint, IRA
4. Betterment
- 4つの投資戦略(Socially Responsible Investing, Goldman Sachs Smart Beta, BlackRock Target Income, カスタマイズ)
- 投資商品はETF(株式、債券)
- 年間費用0.25%/年
- 投資費用0.07%~0.15%
- 少額で株式購入可能
- Tax Loss Harvestingあり
- プレミアムプランではフィナンシャルアドバイザーを利用できる(0.4%/年)
- 3年リターン及びベンチマークとの乖離率 4.2%/-1.94%
- 2020年年初~6/30/2020リターン及びベンチマーク乖離率 -7.82%/-3.03%
- Retirement Account(IRA、401k)に特化
投資商品の資産クラスは株式と債券のみと至ってシンプル。少額で株式購入可能なのでより多く投資に回すことができます。Retirement Account (IRA, 401k) のみ対応です。
5. Wealthfront
- 投資商品はETF(株式、債券、天然資源)
- アドバイザリーフィー0.25%
- 投資費用0.06%~0.13%
- 自動リバランス
- Tax Loss Harvestingあり
- 最低預入資産 $500
- Individual, Joint, Trust, IRA, 401kも対応
6.M1 Finance
- 投資商品は株式、債券、ETF、投資信託、オプション、オルタナティブ投資(REIT、コモディティ、フューチャーズ、ヘッジファンド、プライベートエクイティ等)
- ポートフォリオはパイチャートで表示
- アドバイザリーフィーなし
- M1 Plusは年間フィーあり($125/年)
- 少額で株式購入可能(1/100,000単位)
- 最低預入資産 $100(IRAなどRetirement Accountは$500)
- Individual, Joint, IRA
他社と違うのは個別銘柄で運用できること、パイチャートでビジュアルで資産配分を把握できるのでわかりやすいです。少額で株式購入可能なのでより多く投資に回すことができます。
M1 Financeは運用のみならずデイリーのキャッシュマネジメントサービスにも力を入れています。M1 PlusではChecking Accountの金利が1%、クレジットカードは対象取引について1%キャッシュバック、国際費用ゼロです。また、無料のプランでは取引は午前中のみですが、M1 Plusで預かり資産$25k以上の場合は午後も可能です。
7.ELLEVEST
- 投資商品はETF, 投資信託
- 毎月の口座手数料
- Ellevest Essentialプラン $1/月
- Ellevest Plusプラン $5/月
- Ellevest Executiveプラン $9/月
- 投資費用
- コアポートフォリオ: 0.05%~0.19%
- 女性関連のImpactポートフォリオ: 0.13%~0.19%
- 自動リバランス
- フィナンシャルプラナー利用は$125。(プランにより割引率が異なる。)
- 別途費用がかかるもののキャリアコーチングサービスあり
- Traditional, Roth, and SEP IRAs, Individual
女性による女性のための金融会社とユニークな標榜。ライフステージにより収入やキャリアが不安定になりやすい女性のニーズに合わせたサービスを提供しています。
【まとめ】
- ロボアドバイザーの3年間及び2020年初来~6/30/2020のリターン及びベンチマークとの乖離率はFidelity Goが一番良いが、コストが高め(0.35%/年)。
- ロボアドバイザーの投資商品はETFが中心。Fidelity Goは投資信託のみ。M1 Financeは個別銘柄も投資できる。
- 口座について、7社ともIndividualとIRAを提供。401kはBettermentとWealthfrontのみ。
以上、資産運用ロボアドバイザー選びの参考になりますと幸いです。
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