【アメリカ在住必見】初めてのタックスリターンとFBAR申告(FinCEN 114)

永住権取得後には、毎年アメリカのタックスリターンを申告する義務があります。怠ると罰金が科されるので要注意です。期日は4月15日ですが、今年はコロナウイルスの影響で7月15日に延期されました。

今回アメリカ移住後初めてタックスリターンを申告しました。調べて知った①予備知識、②私の経験、③その他申告義務(FBAR – FinCEN 114)についてまとめます。

【予備知識】

  • アメリカの課税は居住国でなく属人ベースであり、全世界の所得が対象
  • 永住権取得後は、原則、税法上は居住者の扱いとなり、アメリカ国内外問わずすべての所得が課税対象となる。しかし、申告の年において米国での滞在日数が少ない場合は、非居住者扱いとなり、米国源泉所得のみが課税対象となる。
  • 連邦政府と州政府の2つ課税があり、それぞれ申告する必要がある。
  • 申告は夫婦合算 (filing together)しても良いし、別々(filing separately)でも良い。

【私のケース】

私は日本と米国の両方で収入があり、夫婦一緒に申告すると複雑になることが予想されたため、別々に申告することにしました。

去年の9月にアメリカに入国し、滞在期間は4か月未満だったので非居住者扱い、米国源泉所得のみが課税対象でした。Foreign Tax Creditというフォームがあり、外国政府に支払った所得税について控除できます。日本での所得についてその他フォームに記入する必要があり、私は複数の銀行や証券会社で口座を持っていたため、情報を纏めるのは大変な作業でした。

ニューヨーク州はオンラインで申請できました。連邦政府もオンラインで申請できるようですが、非居住者扱いの場合はできないらしく、書類を郵送しました。

なお、私は職場で税理士を紹介してもらい、申告書作成をお願いしました。私の担当者は後からあれもこれも提出してくださいと言ってくることが多く、要した時間も長く不満でした。夫は去年と違う地元の税理士を使ってみたものの不満だったようで、来年はふたりで別の税理士を探す予定です。

Form 8938

米国外に銀行・証券口座を持っている人は、各口座の残高関係なしにすべての銀行口座の情報について、タックスリターンと一緒にForm 8938を提出する必要があります。

【その他申告義務 FBAR (FinCEN 114) 外国銀行口座開示~】

US Person(米国へ納税義務のある人 = 米国・永住権者、米国居住者)で米国外に金融資産を保有している場合、米国外にあるFinancial Accounts (銀行・証券口座)の残高合計が年間を通して一度でも一万ドルを超えた場合すべての口座について申告する義務があります(FinCEN 114の管轄は米国財務省で、タックスリターンとは別物)。US Personには、米国外に居住する米国市民・永住権者、米国に住む外国人も含みます。

FBARの目的は、US Personが持つ国外資産を把握することです。タックスリターンで申告している所得に海外資産からの所得がきちんと含まれているかチェックするためでしょう。興味深いのは、FBARの申告対象に(今のところ)不動産は含まれていないことです。

FBARの申告期限はタックスリターンと同じです。申請はオンラインでできます。→FinCen FABR HP

銀行名、口座番号、口座残高を申告します。金額はUSD建です。申告に使う為替レートは、Bureau of the Fiscal Service にTreasury Reporting Rates of Exchange を参照しました。→Bureau of the Fiscal Service HP

未申告の場合、口座ごとに最高一万ドルの罰金刑法上の罰則も課される場合があるという、非常に厳しい内容となっています。

【まとめ】

アメリカ永住権者とアメリカ居住者は、毎年タックスリターン(Form 8938 添付)を申告する義務があります。また、アメリカ国外の口座にある残高合計が年間で一度でも一万ドルを超えた場合、FBAR – FinCEN 114を申告する必要があります。通常であれば、期日は両方とも4月15日。忘れずに提出しましょう!